ラザロと共に楽園へ終焉〜フォーレ/レクイエム終演〜
このブログでも再三ご紹介させて頂いた 横浜・「磯子フォーレを歌う会」の演奏会が終演した。
600席ある客席のチケットは当日券も含め完売。大盛況であるのと同時に、演目がレクイエムの為に客席からも重たい空気が指揮台からも背中越しに感じられた。
磯子フォーレを歌う会は昨年2015年に磯子で私が指導する合唱団複数に声を掛け、賛同して下さり事務局を開設、文字通りのフォーレ/レクイエムだけを歌う合唱団組織として発足し先日の演奏会開催に至った。
今回オーケストラを担当して下さった 合奏団ZEROは都内で定期的に活動するオーケストラ。
コンサートマスターが私の幼馴染みということもあり、彼女の計らいでオーケストラを紹介してもらったものの、肝心なコンサートマスターは都合により本番にのれなくなってしまった。
オーケストラだけの練習は定期的な合唱と違い、都内で数回のみ。私の要求や音楽をどう数回の限られた練習で伝えられるか、不安であったが貴重な回を重ねるごとに以心伝心、私の深い要求が伝わり稽古中に色々な音の会話が生まれてきた。稽古中は各楽器セクションにこういう風に歌って下さい。と、歌いながら説明し、言葉でも説明をする。歌う訳でもない指揮の私の喉がみるみるうちに枯れていくのをマネージャーは心配していたが、本番ではオーケストラからは会話をするような優しさ、時には激しい厳しい音が旋風のように渦を巻いていた。
オルガンは旧知の仲、電子オルガンの第一人者である伊藤佳苗さん。伊藤さんにはレクイエムのオルガン担当だけではなく、第1部で演奏されたフォーレの珠玉の歌曲をオーケストラ伴に編曲してもらった。
歌曲は普通、歌手とピアノ伴奏で演奏されるがフランス・印象派の音楽をオーケストラにされると色が付き、フォーレの歌曲は更に涙腺が緩む音楽になる。
当日ゲネプロでは色々な修正点などがあったが、本番は出演者全員の集中力、結束力などが統合し、かなりのレヴェルの高いものが出来たのではないかと思う。
本番中は最近この世を去った音楽仲間や身内などが演奏中に私の背中に入ったのかのように私の目から不思議と涙を落とす。。涙目のせいでレクイエム終曲にも登場する、まるで、ユダヤ人の死んだはずのラザロが天使達に囲まれているような気がした。
そんな私の横で今回特別にバリトンソロをお願いした大先輩、東さんは ソロの席に座り私の汗と涙を被りながら私と共通の亡くした音楽仲間を思っていたと後に聞き、また以心伝心。
磯子フォーレを歌う会合唱団の母体はこれにて解散。ウィーン演奏旅行に向けてのプロジェクトの仕切り直し、今回のメンバーが核となり新たに結成され来月から始動する「オラトリオ・ガブリエル合唱団」によるJ.ラター作曲のレクイエムの準備に取り掛かる。
会場にいらして頂いたお客様皆様、出演者、合唱エキストラの方々。関係者お一人お一人に厚く御礼を申し上げます。