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25年以上の一途なヤツ。。

残暑の残る9月、寝る際に冷房をかけっぱなしにしてしまったせいで、起床後に肩や首が非常に重いのが気になりつつ、机に目をやると….

.フォーレのレクイエムのヴォーカルスコア(ピアノ伴奏用で合唱部と声楽ソロが記してある楽譜)と、フルスコア(指揮者が見るオーケストラ、合唱用がすべてに書いてある総譜)が無造作に開きっぱなしになっていた。

昨夜も来月本番の為、間もなく始まるオーケストラ(以下、オケという)の稽古用に合唱稽古で使用しているヴォーカルスコアとフルスコアとを見比べ、オケの稽古が少しでも捗るように、練習番号などを確認しつつ、いつの間にか机の上でうたた寝をし、無意識のまま寝床にゴロンしていたようだ。そんな夜が最近続いている。

スコアを見ていると声楽部分も大事ではあるのだけど、ホルンパートとトランペットパートに目がいってしまう。

今から25年以上前、ある音楽高校の声楽科に在籍していた私は数少ない男子学生の一人であった。そんな中、合奏という授業があり、ヴァイオリンやチェロなどの専攻の学生に混ざってホルンを吹いている私がいた。

ここまでは良いのだが、、トランペットの経験があった私は副科希望にトランペットと書いて出したにも関わらず、人数調整の為にホルンがあてがわれた。声楽専門の学生も私以外みんな女子。まさに女の中に男が一人状態であったのだ。

声楽女子は合奏が履修できず合唱の授業の履修。むろん女子しかいないので女声合唱ではある….そんな中、声楽科にもかかわらず、トランペットの吹奏経験があるからといって、学校から楽器借用の元、ホルンにかじりついたのは良いが初めて間もなく、校内の年一の定期演奏会 フォーレ/レクイエムの第四ホルンの楽譜が渡された。

ホルンという楽器は金管楽器のなかでもマウスピースの形が小さいために最も難しいと云われる。

トランペットは中学生の吹奏楽部で始め、音楽高校をトランペットで受験するレベルになった。…当時アマチュア市民オケに入って居た頃のあだ名は、自慢ではないが音が肝心な時に鳴らない為に、「ラナンペット」(笑)!! ご想像頂けるだろうか。。  

フォーレのレクイエムという作品も作曲家もよくわかって居なかった私が、出番の最も少ないが目立つ部分を背負っている。それでも唇もままならないホルンを一貯前に抱え合奏の授業をぶち壊していたのが鮮明に記憶されています。

しかも数少ない合唱とオケの合わせの際にフォーレの見事な転調に吹くのを忘れ(笑)合唱部分に聞き惚れて聞いていたりして、いつの間にか当時の指導教員からはホルン吹きではなく、「ホラ吹き」だ。と、最上級の「ナランペット」に続く大変名誉なあだ名を拝借しました。結果、、本番には載らずに単位だけもらいリタイヤしてしまいました。

残念な結果ではあったけれど、その当時からフォーレ作品にドップリ浸ってしまい、30種類以上のCDや演奏会に足を運び(その当時歌詞の意味などは一つもわかっていない) いつかこの全作品を自分で手掛けてみたい思いに憧れました。もちろんホラ吹きやナランペットではなく指揮者として….

カトリックでは11/2はAllerseelen万霊節という日にあたり、二度と会うことのない、できない大切な人とかつて過ごした思い出に浸り、再会を求め死者を思い出す日です。日本で云うならばお盆と良く似ているのではないでしょうか。

その万霊節を前に演奏できるという想い。 一途な想いでここまで来たのには声楽家として合唱指揮者としての集大成であるような気がします。宗教の枠を超え、紛争地帯、洗脳されたテロリスト達にもこの天上のハーモニーを届けたい一心です。

25年越しの一途なヤツの祈りのレクイエムをお届けします。ご期待下さい。


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